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2021.05.18

LGBTのアライとして法制定に取り組む。内外逆差別の現状を知ってもらいたい

 
LGBT議連設立から6年。予断を許しませんが、各党の党内手続きと衆参の審議を経てLGBT法が成立する可能性が出てきました。議連の設立に関わった者として、時間はかかりましたが何とかここまできたという思いです。
 
法案の合意に至った5月14日の総会には、長年議連に関わってたメンバーが揃いました。残念だったのは、自民党側で調整にあたった稲田朋美議員が出られなかったことです。稲田さんが自民党、私が民主党の政調会長の時に発足させたのが超党派のLGBT議連です。
 

政治家の仕事は回り道と失望の連続です。その中でごく稀に(年に何回か)目指してきたことが実現できることがあります。オリンピック憲章には「性的指向による差別の禁止」が明記されています。オリンピックが法制定の梃子になっていることは間違いありません。ここまで来たら何とか成立までこぎ着けたいと思います。

 

知られざるLGBTを巡る内外逆差別。外面はいいのだが…

 

あまり知られていないのですが、実はLGBTを巡っては、内外逆差別の問題があります。

私がこのことに問題意識を持つようになったのは2017年に河野太郎外務大臣(当時)のイニシアティブで、天皇誕生日の祝賀レセプションや外務省行事において、法律婚・事実婚あるいは同性、異性にかかわらず、配偶者またはパートナーとして接遇されることになったことです。大臣の発言を受けて、安倍晋三総理(当時)も「首脳の同性婚相手がパートナーとして来日された場合は、総理主催の夕食会にはお越しいただければと考えている」と答弁しました。

このことによって、先進国の中で遅れているわが国のLGBT問題への対応が前進しました。率直に評価したいと思います。その一方で、外国人と日本人との間で、内外逆差別が生じています。

2013年10月18日の法務省の通達(法務省管在第5357号)により、外国で有効に同性婚をしている外国人については人道的観点から「特定活動」による入国・在留資格を認められるようになりました。

現在、同性カップルを伴ってわが国に入国している大使館員、米軍人、ビジネスマンが数多く存在しています。

それに伴って、外国人の同性配偶者は、住民票に世帯主の「縁故者」と表示されるようになりました。妻・夫などの続柄の表記にはなっていませんが、外国人の同性カップルは世帯として法的に認められたのです。要するに外面だけは、良くなったのです。

 

日本人のパートナーは来日できない?

 

外国人と海外で同性婚を行った日本人については、対応が異なります。そうした日本人がわが国に帰国する場合、外国人の同性配偶者が「日本人の配偶者等」に当たらず、「特定活動」による入国・在留資格も認められていません。

そのため、同性配偶者が日本国内で留学するなど、別の在留資格を得ない限り、わが国に滞在することができません。仮に、別の在留資格を得てわが国に滞在することができた場合も、住民票には世帯主の「縁故者」ではなく「同居人」と表記されます。ちなみに、日本人同士の同性カップルについても同様ですから、外国人の同性婚カップルに限って、特別に世帯として認められていることになります。

 

グローバル人材が日本に戻ってこない弊害

 
海外で活躍する日本人ビジネスマンの中には、配偶者のわが国での滞在が認めらないことが原因で、帰国を躊躇する例が出てきています。こうした日本人が今後も増加することが予想され、経済のグローバル化の観点からも見過ごせない状況です。
 

 

読売新聞によると、日本人との「同性婚」が海外で認められた外国人パートナーに在留資格を与えることが政府内で検討されています。2018年には河野外務大臣と法務省に内外逆差別の解消を私から要望しておりましたので、ようやく本格的な検討が始まったということでしょう。

外交安全保障は現実主義、内政は弱い者のために、そして多様性を大切にするというのが私の政治理念です。この政治理念を実現するために、アライ(LGBTの応援団)として当事者に寄り添って努力を続けます。

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