教育無償化の本丸は?

元祖、社会起業家、駒崎弘樹さん(認定NPO法人フローレンス代表理事)

と久々の教育談義。動画配信済みのものですがアップします。(対談は6月末)

■やるじゃん、子どもファースト

細野:ネット上でかなりバズっている子育ての(『ハフィントンポスト』6月27日掲載「東京都議選、各党の子育て支援公約を見比べる」はおもしろかったです。珍しく民進党をほめてもらっていました。

駒崎:民進党にはまったく期待していなかったのですが、意外に公約はけっこうよくできていました。公約の最初に「子どもファースト」が来ていて、「お、やるじゃん」みたいな。

細野:病児保育も入っていたし、本当は障害児の保育の問題なども入ってくるとほぼ網羅していたのですが。

駒崎:自民党などがまったく網羅していないのに対して、民進党は意外と網羅していて、ちゃんと勉強しているところが作ったんだと思いました。民進党にも人材はいるのだということに、初めて気づきましたね(笑)。

■もの言うきっかけはアンパンマンショー

細野:駒崎さんがフローレンスを始めたのは、SFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)を出てすぐですか。

駒崎:そうですね、2003年です。

細野:ということは14年ぐらいやっているんですね。いつ頃から政策の評価などにコミットしだしたのですか。

駒崎:僕がロビーイング的なことに目覚めたのは、子育て政策に対して市民がフィードバックする、某区の審議会の委員をしていた時です。

 少子化だからということで出てきた政策メニューが、「少子化なのは子育ての楽しみを市民が知らないからだ。だから、市民に楽しさを教えてやるということで、アンパンマンショーをする」。

細野:ずいぶん飛躍が。

駒崎:ロジックがつながっていない。まず、なんで役所が区民に子育ての楽しさを教えてやらなければならないのかが、分からない。かつ、その手法がアンパンマンショーであることがおかしい。アンパンマンショーに数百万の予算がかけられたところで切れて、いい加減にしろと。別に役所に教えてもらわなくていいし、アンパンマンを見たからって子育てがおもしろくもならないとバンバン言ったら、そこの総務課の人が「許せない」みたいな感じになった。さすがに20代そこそこの自分が言い過ぎちゃったかな、ものを言ってはいけないのかなと思ってしゅんとしていたら、会が終わった後に、総務課の隣の課の課長さんが寄ってきて、「よく言ってくれた」。

細野:あ、言えなかったんだ。

駒崎:部署が違うからよくなくても言えなかったけど、外部から言ってもらえるとすごくいいんだよとほめてもらえて、そのアンパンマンショーは、次の年はなくなったんです。自分がちょっと言っただけで数百万円の税金が削減できたんだと思ったら、うれしくて。何か事業をやるだけではなくて、政治や政策にものを言っていったほうがいいんだなという成功体験になった。

細野:それは何年頃ですか。

駒崎:2006年か2007年です。


■フレンドリーだった民主党政権

細野:駒崎さんと初めて会ったのは政権交代の頃で、松井さんが「新しい公共」宣言を出す前だから、2009年かな。当時20代?

駒崎:30歳になるかならないかぐらいです。

細野:もともと、市民運動とかNPO活動家の皆さんとは付き合いもあって

駒崎:当時はプロ市民層ですよね。

細野:非営利であることと、ボランタリーみたいなことに対して思い入れがあって、なかなか入り込みにくいみたいなことも言われていたときに駒崎さんと会って、私もカルチャーショックを受けたのです。社会的起業についても意図しながら、しかし営利本位ではなくて社会に貢献していく。当時から、ガンガン飲みに行っていたじゃないですか。

駒崎:そうですね。当時の民主党政権の時は、政治任用制度を使って、半年間だけ内閣府の官僚になりました。それで寄付税制改革などに携わらせてもらって、NPOをやりながら、官僚というとおこがましいですが、そういう立場で政策にも関わらせてもらった。官邸に通って仕事をしたので、官邸から世の中はこう見えるんだとか、本当に勉強になりました。

細野:鳩山政権の評価はたいへん低いんだけど、入った人からすると、敷居が低かったでしょう。官房長官もそうだし、副長官は松井さんだったし、鳩山さんも「やあ」みたいな感じだったし。

駒崎:歴史的な評価は低いかもしれないし世間的な評価はイマイチかもしれないけど、少なくとも僕みたいな30歳そこそこのペーペーが、総理大臣に普通にものが言える関係があったのは、けっこうすごいことです。そういうフレンドリーさは永田町界隈にはなかなかないと思うので、そういうところはもっと評価されてもいいかなと思いますね。

細野:もう一つだけ、もう少し評価されてもいいかなと思うのは、社会保障というと年金・医療・介護の3経費と言われているのが、子育てを大事にしましょうというのを、民主党政権で進んでやった。やり方として、現金を渡す子ども手当はよくなかったなどいろいろありましたが、子育てがメインイシューになったことはもう少し評価されていい。

駒崎:子ども手当もバウチャーだったらありだった。現金だったからばらまき批判があった。今は子どもの貧困の話題もあるから、たとえば貧困層に現金給付だったら別にありだと思います。そういう意味ではやりようだったというところもあるので、悪いところばかりではないと思います。


■党より人物本位

細野:駒崎さんは今の自民党に対しても言うことは言っていますよね。かなりメリハリをつけていますよね。

駒崎:そうですね。なので、嫌われる人にはものすごく嫌われるのですが、いいねと言ってくれる人は、会う瞬間にすぐ分かる。「ああ、君ね、インターネットで自民党の悪口言っていたよね」みたいな(笑)。

 自民党でもどうしようもない人もいればいい人もいるし、民進党でもどうしようもない人もいればすごくいい人もいるし。今は党が違うと、民進党イコールどうしようもないみたいな感じでガンガン言われがちなんですけど、民進党といっても右から左までいるので、応援するかしないかは、人物本位で峻別したほうがいいかなと思います。

細野:もしかしたら、世代の問題が若干あるかもしれない。駒崎さんはまだ30代で、小泉進次郎さんなどと同じ世代でしょう。やはり40代、50代、60代となってくると、だんだん変わってくる。いわゆるNPOや社会的起業に関して正面から捉えている人が減ってくる。

 また、子育ては家庭でするものだという出発点が、ある世代はものすごく強い。ただ、そんなことを言っていたら、現実的にえらいことになっている人がたくさんいるので、そこに光を当ててこなかった。これを変えたいですね。

駒崎:しかも、自民党は「そんなのね、母親の愛情だよ、君」みたいな人がいるので(笑)。そういう人にはガンガン言っていかないと。それは言っちゃ駄目なんだよというラインを見せないと駄目だし、自民党の中でも子育てがんばろうみたいな希有な人もいるので、そういう人はちゃんと応援する。自民党というクラスタよりは、その中でも世代や女性・男性で違う。女性でも「このハゲー」みたいな人もいるし、ちゃんとした人もいるし。


■教育無償化 (1)まずは幼児教育を

――憲法改正の論点で、細野さんが教育無償化を言い始めて、にわかに安倍さんのほうからも憲法改正で教育無償化の話が出てきました。

細野:初めに、幼児教育の無償化をやったほうがいい。幼稚園・保育園のときは親もかなり所得が低いのにお金がかかって、働きに出るのも大変という状況だから。

 あとは駒崎さんが発信した、高等教育ね。大学や専門学校に生活保護の家庭は行ってはいけませんというのは、とんでもない話です。こういうチャンスはできるだけちゃんと平等にみんなにつかんでもらう。

駒崎:補足すると、今4~5歳で、保育園も幼稚園も行っていない人が5%います。この5%がけっこう怪しくて。虐待などがあっても、絶対に気づけない。これに気づくためにも、無償化するんだから来てねみたいな感じで、義務教育化する。

細野:義務にできるかどうかは微妙なんだけど、基本的に全員受けるものとしておけば、とんでもない状況になっているのを発見できますよ。

駒崎:だいたいそういうときは、親に問題があって園まで行かせられないとか、家庭内で何らかの問題がある場合が多いので。

細野:賛成、賛成。今は歯の検診や1歳児検診に来なかったというので家庭訪問しているんだけど、行ってみたら親がいなかったなどで結局会えず、中には虐待を見逃している。

駒崎:対象世帯が100万人だとしたら、保育園にも幼稚園にも行っていない子が5万人はいるじゃないですか。その子たちをなんとかしないといけないというのがあるので、無償化するのであれば、ほぼ義務教育化させるのがいいと思っています。



■教育無償化 (2)高等教育における機会均等を

駒崎:二つ目の、生活保護家庭の子どもは大学に行ってはいけない問題は、僕が年始にブログを書いたら、まさに細野さんが見ていてくださって、すごくぶつけてくださった。そこから話がちょっとずつ進んでいるというところは、けっこうすごいこと。半年でこのスピード感で、イシューになっているから。

細野:野党をやっていると文句ばかりで性格が悪くなるから、たまにはいいことをやらないと(笑)。ここは名前は言えないけど、フルに私の人脈を使いました。ようやくですけど、動き出しています。

 成長戦略にも一言入って、まずは通学生については、家から通う専門学校と大学生に関しては、住宅扶助は減らさない。これは局長通知一発です。

 もう一つは、下宿ね。生活保護家庭から東大に行った島田君と対談していたでしょう? 彼の話を聞くとなかなか強烈ですよね。

駒崎:強烈ですよ。この世代の子にこれだけの思いをさせているんだ、そういう社会なんだなというのは、痛烈に反省しましたね。

細野:受験するのも命懸け。10万円貯めて、もちろんすべり止めなし、浪人はなし。親と決別して、もう会いませんみたいなね。

駒崎:そんな彼でも、むちゃくちゃ運がよかった。ほぼ無償で見てくれる塾と出会い、いくつもの偶然が重なってそうなっている。島田君はすごく優秀な子なんだけど、島田君になれたかもしれない幾千もの子もいたんだろう。でもその可能性は、いろいろな偶然や助けの手がなくて、こぼれ落ちていく。やはり、機会は均等であるべき。

細野:その辺の感覚が、今の中枢にいる人たちには欠けているような気がする。それに気がついた与党の人たちがいて、少しずつ動き出したのは、今の駒崎さんの発信力がすごいからだと思う。


■教育無償化 (3)なぜ、憲法に書くのか

細野:教育の話は、非常に時代背景が反映されます。憲法が施行された1947年には保育園はなくて、幼稚園に行っていた子どもは7%。田舎は、幼稚園がほとんどなかった。都市部で、お金持ちだけが行っていた時代です。なので当時は教育無償化というときに、そもそも概念上、幼稚園などはほとんどなかったのです。

 今は行っている子どもが95%になっているし、幼児教育の大切さは世間的にも認知されていて、コミュニケーション能力や将来の所得に直結するというのも客観的な事実だから、もっとそこに光を当てたほうがいいと思う。

 もちろん法律でもできるんだけど、それは政権によって変わってしまうので、憲法に書いておいたほうがいいというのが、私の意見なんです。

駒崎:安倍さんが憲法改正で教育無償化を入れようと言っていて、左派界隈からはそこを一緒にするなという批判もあった。憲法に書くのもありかなと思うのは、優先順位の問題です。

細野:財源ね。

駒崎:そうです。いつも財源ないから財務省を説得できないと劣位に置かれていたけど、憲法に入るとさすがにやらなければとなるので、ありなんじゃないかなと思うんですが、悩ましい問題もあります。

大学を無償化した場合、結局、大学への補助と同じになってしまうから、あまり教育能力が高くない大学まで生き残っていいんですかみたいな議論がある。偏差値が低くても教育能力があればいいのですが、教育能力もない大学も一部あるので、無償化するのであれば何らかの基準は設けたほうがいいのかなと思ったりもします。

細野:今は全入時代になったから、大学は努力しなくても無料ならみんな入ってくれて、経営が成り立ってしまう。それもあったので、私は高等教育については無償化とは書かなかった。

 チャンスを平等に与える。つまり、所得の格差や社会的状況で行けない人がいてはいけない。完全に無料化することは想定しなくて、できるだけ給付型の奨学金を充実するなどで対応すべきだという意見なのです。

 あとは、18歳卒業で、たとえば工業高校などを出て自動車企業などでバリバリ働いてがんばっているような人を、もっと評価したほうがいい。そこと大学に行く若者との平等性もある程度考えないといけない。

駒崎:そこは僕もまだ考えをまとめ切れていません。たとえば外国では、黒人層やヒスパニック層に一定の在籍枠を割り当てるアファーマティブ・アクションみたいなことをやっています。

 一方、東京大学は国立で安く行けるはずなのに、在学生はお金持ちの家庭で教育投資されている子どもたちばかりというジレンマがあるので、たとえば国公立大学は一定の所得枠の人しか来られない枠を作って、その枠は無償化することで、大学まで無償化という言い方をしてもらう。ゼロかイチかの間に、いろいろな案があるのではないかと思います。


■教育無償化 (4)財源はどうする?

細野:憲法は、原則を書いておく。どこまで書くかということで言うと、私の提案の線は悪くないと思っています。ただ、どこまでやるにしても、いちばん問題なのは財源です。

 たとえば、幼児教育から高等教育まで全体を無償化しようと思うと、ざっくり5兆円。もう少し段階を踏んで、一部有料などとしても3兆円くらいはかかる。

 駒崎さんたちも賛否いろいろ議論を重ねているけど、今自民党内で議論をしているのは、こども保険です。民進党はこども国債

駒崎:僕は、こども保険は条件付き賛成で、教育国債でも、こども国債でもいいと思っています。

 こども保険の場合は、所得の0.1%~0.5%なので、そんなに大きくないんですよね。月にコーヒー1杯分で数千億円が出る。

細野:高齢者には介護保険などがすぐできるのに、なんでこども保険のための0.1%が駄目なんだと小泉さんが言っている議論は、よく分かります。

 ただ、私がちょっと気になるのは、結局現役世代の所得からなんだよね。本当は社会的にいちばん必要なのは、高齢者でものすごく貯金を持っている人や所得の多い人たちに出してもらうことなんだけど、そこに手が届かない。こども国債ならば、そこは届く可能性がある。

駒崎:こども国債も賛成で、進次郎さんと僕の最大の違いは、緊縮か否かです。つまり、進次郎さんと若手は財政タカ派なんですよ。

 僕は別に教育国債いいじゃない、将来世代に投資していたら返ってくるしというところだし、緊縮は人の命を奪うところもあると思います。実際に本当に財務省の論理に乗っかっていいのかと言うと、そうではないでしょうというところがあるので、わりと反緊縮派。行けるところまで借金していっていいと思っています。

細野:小泉進次郎さんはなかなか勇気があるなと思いますが、あえて踏み込まなかったのか、もしくは踏み込めなかったのか、高齢者の負担に踏み込んでいない。選挙に出ている立場から言うと、高齢者負担に踏み込むのはすごく大変なんですよ。

 というのは、70代の人数が多い。いま生まれてくる子の2倍くらいいる。おまけに投票率がだいたい2倍だから、レバレッジが4倍効いている。これで70代の人に負担してくださいと言うのは大変なんだけど、ここを説得しない限り、財源は出てこない。消費税にしてもそう。

■年金の辞退もありだと思います。

細野:私が最近意識的に言っているのは、本当にたくさん財産を持っている人には年金を辞退してもらえないか。

駒崎:僕も絶対にそうだと思います。年金課税、もしくは資産課税。あるいは資産評価によって年金を減額する。

細野:不動産も含めて1億円以上の財産を持っている人が、全国に十数パーセントいるんです。その人たちも所得がなければ年金をもらえます。1億円以上の財産を持っている人の年金を、20代や30代の年収200~300万円の人が保険料を負担するのはもはや限界です。

 根本的に問題を解決しようと思ったら、資産や所得を含めて医療・年金・介護全体の支出を見直すことなんだけど、いきなりそれに踏み込めないから、私が手始めにやってみてもいいかなと思っているのが、年金の辞退を皆さんにお願いする。金額としてはそんなに出てこないと思うんだけど、意識を変える機会になるので。

 年金を辞退している人って、全国に何人ぐらいいると思いますか。

駒崎:そんなにいないでしょう。100人とかじゃないですか?

細野:いい線ですね、自主的に年金を辞退しているのは約700人です。

 ロータリークラブやライオンズクラブにお金持ちがいるじゃないですか。年金辞退はどうですかと問いかけてみると、おもしろい現象があります。

 初めは、俺たちはこれだけがんばってきたのに最後の年金も辞退させるのかと、ものすごく冷ややかな反応があります。そこで、これこれしかじかで、貯金のあるおじいちゃんおばあちゃんを持っているお孫さんなどには生前贈与もできる、税制も優遇されているけど、そうでない子どもは本当にかわいそうだから、そういう子どもたちにも教育のチャンスを与えるために、皆さんもう一歩踏み込んでもらえませんかと言うと、そのあとの懇親会などで話しかけてきてくれて、「俺はそろそろ年金辞退してもいいと思う」と言うわけ。60代の人はなかなかそうは言わないけど、80代くらいになると、そろそろいろいろ考えるらしい。

 ある人が言ったのは、「俺は、陛下に会わせてほしい」。

駒崎:叙勲ですね。

細野:あまり叙勲がたくさんだと大変で、陛下にこれ以上過重な負担は心苦しいんだけど、工夫の余地はあるのかもしれない。それが最後の望みだということで年金を辞退してくれて、それで誰か奨学金をもらえるなら、いいじゃないですか。

 別の人は、「年金は辞退してもいいから、ディズニーランドのファストパスみたいなものをくれないか」。

 つまり、金はある。しかし時間がない。病院でいちいち並んだりとか、待たされたりが嫌。ファストパスみたいなものさえくれればお金は払うから、喜んで年金辞退すると言う。病院はちょっと難しいんだけど、実利派と名誉派がいる。

 年金を辞退した分は、必ず若い人の子育てや教育や奨学金に行きますよというのを明確にしてあげれば、そういう気持ちになる人も出てくるのではないか。

 工夫をしたうえで、制度上、高齢者の皆さんにどう負担してもらえるかという議論を始めないと、高齢者負担の問題に踏み込むのはそうとうつらいのです。

駒崎:たしかにそういう意味では、相続税の課税ベースを広げるとか、累進課税を高めるとか、他にもミニ増税はできる。ソフトミックスしていって、いつの間にか上がっていたみたいな感じで攻めるところはありなんじゃないかと思っています。

細野:こども保険の話は、たしかに社会でやってみましょうという意味では注目させたんだけど、高齢者負担の議論に行き着いていない。やや財務省が乗っかりやすいものが出てきていて、それだけが注目されて、骨太にも載ってというところがもったいない。

駒崎:本当に切り込まなければいけないところには行けていないという、政治的妥協があるような気はしますよね。

細野:逆に言うと、そこに踏み込んできちっとこの国の財政や社会保障の問題に取り組めて、子育て環境がよくて、少子化にもちょっとでも歯止めがかかって、社会的なスタートについては格差がないというのができれば、政治的にはものすごく大きな成果ですよ。

駒崎:安倍さんが9条うんぬんとか言っているけど、日本にとって本当の脅威は、超少子高齢社会。縮小するなかで、そこに対してどう取るところから取って、投資するところに投資してというシビアな闘いをするかがいちばん優先順位が高いんだけど、その優先順位から逃げているところはありますよね。

細野:それが安倍政権は気になります。

――ちょうど細野さんと我々、人生100年時代だから、2040年に高齢化率が40%という時に70歳ですよ。人生100年時代は、どういうふうにイメージされていますか。

細野:私などの世代としては、ちゃんと働くんじゃない? 私は1971年生まれなのですが、1971年の65歳以上の高齢化率は7%くらい。

駒崎:7%ですか? そんな時代があったんだ。

細野:それが、私が70歳の時には4割だから。すごいでしょう? だから私の世代がいちばんドラスティックな変化を受ける。

 やっぱり健康なまま年を取って元気に働き続けて、自分のことは自分でというのが基本になってくるのでしょうね。

 今の高齢者の皆さんにできるだけ元気でいてください、お金がある人は申し訳ないけど負担してくださいと言うからには、我々はその覚悟で言わないといけない。

駒崎:基本は、年金という制度自体が、人生100年時代になると陳腐化する。あれは長生き保険なので。

細野:給付、権利になってしまっている。人生で貯金できた人には申し訳ないけどそれはめでたいことで、年金は貯金できなかった人のためのもの。保険の機能になれば、ずいぶん変わる。

■健康寿命を伸ばすために

駒崎:後は、我々としては健康寿命を伸ばす。寿命も伸びるんだけど、健康寿命がそのままだと介護人生が待っているので、健康寿命を伸ばす政策提言をしなければいけない。

 なので、国民の健康を害するものは、ソフトに制約していかないといけない。

細野:それ、たばこのことを言っているね。

駒崎:一番は、受動喫煙は、撲滅しなければいけないと思っているので。自民党たばこ議連は、本当につぶす。都議選で都連に目にも食らわせてやると思って。

細野:都議選の主張はどうなっているんですか。

駒崎:自民党は分煙なので、意味がない。民進、都民ファースト、公明は、屋内禁煙と言っているので、こっちが勝ってくれれば、東京都においては受動喫煙防止になります。東京都でやったら全国に広がるでしょう。

 だから僕は、「受動喫煙・夏の陣」と呼んでいます。「受動喫煙・春の陣」は敗北したけど、夏の陣に、勝つ。冬の陣で、滅ぼす(笑い)


■NPO業界の経団連?

――駒崎さんが最近代表になられた新公益連盟はどんな活動しているのですか。

駒崎:新公益連盟は、NPO業界の経団連。ソーシャルビジネスなので、ベンチャー系の人が多いから、雰囲気としては楽天の三木谷さんが作った新経連(新経済連盟)に近いのですが、「新経連」と言っても理解してくれないときがあったので、経団連と言っています。

 企業社会には経団連があって、束でもの申すことができますよね。NPOや市民セクターはそういうものがなかったので、市民セクターとしてはこうですよと言っていけるものを作ったということです。

 後は、NPO経営者は中小企業経営者と一緒で、孤独なのです。責任もあって、しかも進んで儲からないことをやっていて資金繰りも大変なので、お互いに励まし合えるのも大事なことです。


細野:それだけいろいろな政策にコミットしていると、選挙に出ようかなとは思わない?

駒崎:ないです。政治家になりたい人はたくさんいるのでそういう人たちに任せておいて、僕は現場で出てきた課題を心ある政治家に届けて、その政治家にやっていただくほうがいい。

細野:一緒にやらせてもらっている医療的ケアなども、ここ1~2年で前進してきましたものね。そういう人間関係を作って、駒崎流でぐっと押し込むのは、ここ数年めざましい結果を出していると思います。

駒崎:ありがとうございます。

細野:後は、政治家側の感度ですよね。けっこう低いから。

駒崎:低い人もいますが、たとえば医療的ケアだったら細野先生はぐっと来てくれるわけじゃないですが。あるいは子どもの貧困とか。

細野:そういうのは私、わりとスイッチが入るのです。

駒崎:スイッチが入ってくれる人の力を借りるかたちで、これからもいきたい。

 これがたとえば僕がどこかの党の政治家だったら、話を聞かないですよね。「君、何期生?」みたいな感じになるでしょう?

細野:そういう人はいますね。

駒崎:だから民間人でいて、どこの党の人とも志があれば仲良くするという人がいたほうがいい。

細野:なるほど、議員バッジをつけて1年生でございますでやるよりは。そうかそうか、たしかにそうかもしれないな。

 そのエネルギーを失わずに、これはと思ったときには、相変わらず爆走してもらって、子どもたちのためにがんばってください。

駒崎:ぜひそのためには細野先生も長生きしていただいて、この永田町ジャングルでぜひ生き残っていただいて。変なやつから刺されないように。

細野:いろいろ乗り越えていますので(笑)。ありがとうございました。

志をもって爆走ですよ!


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